ほろ酔い気分で聖夜を過ごす
「放っておけ。マンナカがいずれ、起こすだろうし」
帰宅したマンナカは今頃、クロスに肉球パンチをして、起こしているだろう。あの潰れっぷりでは、いつ起きるか分からないが。
「では、ロードを寝室に運びましょうか。ここでは風邪を引きますよ」
ロードの腕を掴むその白く細い手。
「構わなくていい。少し休めば、自分で歩ける」
その細腕では支えられないだろうとロードは、姫の申し出を断ったわけだが。
「私では、あなたを支えられないのですね」
その返答は、酔った頭によく響く。
「支えるのは、俺の役目だからな」
「たまには“お返し”をしたくなるのですよ」
「いらん」
「寂しいお返事なことで」
「君が俺のやることに気負いすることはない、他にやることがないんだ」
力が抜けている手を握り、真っ正面から赤い瞳を見据える。