ほろ酔い気分で聖夜を過ごす


「この手足に、君を支えること以外の使い道なんかない」


「さすがの私も、ドキリと来ますねぇ」


おどけるように肩を上下させた姫には、ため息が出てしまう。


――やはりか、と。


「君の特別にはなれないな」


「特別ですよ、あなたも」


「『も』だろう」


「ええ、ロードがご存知の通りですから」


特別(大切)であっても、姫君の腕は皆に差し伸べられる。


前から分かっていた。分かっていながら、この手足の使い道は変わらなくて。


「酔うと、人は弱い部分を見せるらしいですが」


「君にぶつける弱さなどない」


「私もあなたに、“弱みをぶつけなかったから?”」


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