ほろ酔い気分で聖夜を過ごす
支えてばかりで見ていなかった姫君の深層。女神の笑みの裏、今は裏表などないだろうが、時折思う。
「君は泣くとき、誰の胸で泣くのだろうな」
「そういうロードは、そもそも泣きませんよね」
“どっちもどっち、おあいこだ”。
「そうでもない。君がいないのならば、泣くだろうさ」
“隣にいるから泣けないんだ”。
「さて、ロード。歩けますかー?」
「頭を撫でるな」
「ロードの髪はつやつやなものでして。それに今は、撫でやすい位置にありますから」
立つまでこうしてますと、白い手は引かない。
「ならば立つ――って、つむじを押すな」
「これ以上、背が高いと支えられなくなりますからねぇ」
「だから、俺は――」
勢いに任せて立てば、足がよろめく。背にある扉を支えにすれば、転倒を免れるが。
「特別なのですよ、本当に」
自身の腕を握る彼女は、尚も支えでいたいらしい。