ほろ酔い気分で聖夜を過ごす
シャンパン
奇妙な部屋であることは、一度足を踏み入れた時点で分かる。
この上ない異質故に、類なき一室。踏み入れた足は驚愕により、片足だけを前に出したまま硬直しよう。
黒い世界に並べられた本の山。見えない天井は夜闇の中であり、本は星空とも言うべきか。
本が自ら発光するわけがないが、“見える”ことは、いくら瞼を擦っても変えようない事実。
部屋の隅には天まで届きそうな――いや、天まで届いてしまったような数々の本棚があり、部屋の中枢、もっとも人々に驚愕を与える“渦巻き”がひしめき合う。