ほろ酔い気分で聖夜を過ごす
紙の上昇気流は変わらぬスピードで廻り続けるが、何枚かの紙が床にポタポタと落ちていく。
床が見えない紙(ページ)の絨毯。子供はそれを踏む一歩手前で足を止めた。
「おばあちゃん、メリークリスマス」
二度目の言葉に反応したのは、床に落ちていた紙であった。
各国の言葉が並べられた紙が宙に浮く。
「日本語でいいよ。ボクね、今は日本にいるから」
『日本語』と書かれた紙だけが残り、他は地に伏せる。続けざま、『日本語』の単語後ろに五十音――『あいうえお』と一文字ずつ切り離された紙らが、掲示物のように浮遊する。