ほろ酔い気分で聖夜を過ごす


純真無垢の象徴。天使の姿であろうが、その実は、誰よりも愛されたがるこども。


子供の中のこどもは、周りを巻き込んででも、こどものあるべき姿のままである。

つまりは――


『わがまマなコだ』


文字に表情はなくとも、どこからか気だるげな空気が流れて来るようだった。


『もっていくとイI』


各文字が書かれた紙はそれぞれ一枚ずつしかなく、ローマ字読める歳ではないのだが、“おばあちゃん”は気にせずに文字を並べた。


読めるだろうと、そんな歳なんだから、と――


「わー、絵本だー!」


浮遊してきた絵本を抱きしめた子が笑う。先の言葉があるならば、これが『おばあちゃんからのプレゼント』と受け取って構わないだろう。


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