ほろ酔い気分で聖夜を過ごす


僅かの沈黙は、眼球の妥協までの思索の間。


ワガママで意固地な子は、一度言い出したら意見を曲げない。面倒だとは顔に出せないが、出された文字たちが緩慢な移動をしているのはありありと分かった。


『あのひとが』『もってきテ』『くれたノ』


「おじいちゃん?」


『くりすまスだから』『きぶんダけでも』『味わったラ』『ッて』


「おじいちゃんからのプレゼントだね」


口のない者に対してシャンパンを贈るなどと、貰った当人にしてみれば嫌がらせでしかないが、“貰った相手”によってその気持ちは霞となる。


プレゼントは気持ちの問題と言うが、些細な優しさ――例えそれが、戯れだとしても。


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