ほろ酔い気分で聖夜を過ごす
その戯言に殺意を投げる。岩石とも見紛えよう本の塊をぶつけても。
「おばあちゃんこっちだよー」
さながら、目隠し鬼のように。眼球のみのモノを囃し立てる子供。
遊ばれていると知っても、激怒で冷静さが消し飛ぶ。
数多の国の『死ね』を意味する言葉を撒き散らしながら、本の投擲は続くが。
「本を人一倍大事にする君が、そうして本を投げるのはいかがかね?」
透き通った声にして、全ての時を制止させる終止符。
「ああ、しかして君は、本(それ)でしか感情表現が出来ないから致し方がない、か」
散乱する本は、その人物の歩みと共に本棚へと戻っていく。
敷き詰められた紙とて、モーゼの十戒のように道を開ける(作る)。
「おじいちゃん、メリークリスマス」
「メリークリスマス、“六番目”。そうして見透かそう、君が欲しいのはこれかな」
言われずとも分かっていると、子の手にお菓子が入った靴下を手渡す。
満足げに微笑む子は、先の怒りも忘れたか、早速、靴下の中にあったチョコレートを口に含んでいた。