ほろ酔い気分で聖夜を過ごす
「喧嘩するほどと言うが、君たちの喧嘩とは生死が絡むし、周りさえも巻き込むのだから止めたまえよ。私は別段構わぬと言えば、前に叱責されたものでね。『仲間割れの発端は、大概お前にあるだろう』と――ふむ」
あの場でも倒れなかったグラスを手にした“ソレ”は、事の次第を、聞かずとも。
「見透かすよ、どうやら、今回も『大概』か」
贈り物にシャンパンを選んだのは間違いだったと、“ソレ”がグラスを手放せば、落ちる前に宙で消え、床に置いたままのボトルは花瓶となる。
「“今回は”、酒絡みのようだから、甘んじてその余興に乗ってみようとしたのだが、まあ、これもこれで、粋な演出だったであろう。物語としては“成った”」