シークレット ハニー~101号室の恋事情~
何も話さない私を不思議そうに見る五十嵐さんに近づいて、玄関の鍵を閉める。
それから彼の手を引いて、バスルームに連れて行った。
水には弱いだろうから、まずお風呂にはしかけないと思ったから。
そんな広くもないバスルームにふたりきりになると、五十嵐さんは戸惑った顔をした後、ふっと微笑む。
「急にこんなところに連れ込んでどうするつもり?」
「どうもこうもないです。
これ、見てください」
私が誘っていると勘違いしている五十嵐さんに、さっき読んだ手紙を見せる。
そして、彼が全部を読み終わったところで、今までにも届いていた事と、どうやら見られてるらしい事、それから盗聴器の事を話す。
五十嵐さんはなんでもっと早く言わないのか、自分が危険だとは思わなかったのか、とか珍しく怒っていたけれど、今はそれどころじゃない。
「とにかく、探すの手伝ってください。話はその後しますから」
そう言うと、五十嵐さんは「分かったよ」としぶしぶ頷いた。