シークレット ハニー~101号室の恋事情~
そう思って、五十嵐さんの部屋の捜索を先にしようと提案しようと、振り返ろうとした時。
五十嵐さんが後ろから抱きついてきた。
「……あの?」
何かあったのか、というか、どういう意味で抱きついてるのか分からなくて戸惑っていると、五十嵐さんが私の髪に唇を寄せる。
「盗聴器は後で俺が必ず見つけるから安心して」
「……じゃあ今見つけてください」
「後でね。今は両手が塞がってるから」
「塞がってるって、離せばいいじゃないですかっ」
五十嵐さんの左腕は、逃げ出そうとする私の腰に巻きついて動きを封じ込めていて、もう片方の手は脇腹を撫でながら上がって胸を覆っていた。
耳にキスをされて、小さく身体が跳ねる。
「い、五十嵐さんっ、盗聴器が……」
もう絶対にこんな事してる場合じゃない。
今だって何聞かれてるのか分かったもんじゃないのに、こんな状況で抱き締めてくる五十嵐さんの神経を疑う。
しかもそれは抱き締めるだけに留まらなそうで。