シークレット ハニー~101号室の恋事情~
「でも、なんで雨宮が監査課なんだろうね」
「不思議ですよね……。
課長に何か勉強しておいた方がいいか聞いたんですけど、異動になったら実際に仕事してみて覚えればいいって言われちゃって」
「そんな事言ったって、雨宮が一緒に仕事するのって新しくヘッドハンティングされてきた監査課課長なんでしょ?
そこまで仕事できる男と何の知識もなく仕事するって結構勇気いるよね」
「なんかもう会社ぐるみで私をいじめようとしているとしか思えないんですけど」
「うん。私も今そう考えてたとこ」
ふざけて言ったのに真顔で返されて苦笑いがもれる。
まぁでも、特に勉強が必要ないっていうならそうするほかないし。
監査課の仕事をきちんとは知らないけれど、私が知る限りでは、色んな支店に行ってその支店の仕事内容が正しいかどうかを判断して正すって感じだ。
ひとつの支店にかける時間は確か一週間以上だとか聞いた事があるから、結構大がかりな作業なんだと思う。
それを繰り返して、社内の仕事内容のクオリティを上げるのと、不正をなくすのが目的なんだとは思うけれど、大変な仕事だ。
ミスがないかを精査しないといけないって事は、自分自身がその仕事を完璧に覚えている必要があるのだから。