シークレット ハニー~101号室の恋事情~
でも、色んな支店を回るなら、スケジュール帳くらいは買っておいた方がいいかもしれない。
書き込んでおかないと忘れそうだし。
でも、もう五月末だし手帳売ってるかな。
「ねぇ、今日この後暇?」
伝票の枚数を数えていると、福島さんに聞かれる。
「暇ですけど、手帳探していこうかと」
「あ、監査課の準備?」
「はい。一応」
「細かそうだもんね。私が仕事内容知っていれば今からしごいてあげられたのに」
スパルタぶりを匂わせる福島さんに笑ってから、来月からの仕事の事を考えてみる。
今やってる内容とはガラっと変わるし、今まで覚えた事も向こうではそんなには役に立たないかもしれない。
今やっている仕事は預金関係だけだけど、監査ってなると融資や為替の仕事内容も覚えないといけないだろうし、今までやった事ない事をたくさん覚えないと仕事にならない。
大変な仕事だ。
そんな事を考えるといつの間にか暗くなってしまうから、気持ちを切り替えようとふぅっと息をついた。