シークレット ハニー~101号室の恋事情~


悪い事ばかりじゃないと思うよ。
異動の事を話したら、五十嵐さんはそんな事を言っていた。

仕事何やってるのかも分からない人に言われても説得力もなにもないけれど。
五十嵐さんの言葉が少しだけ気持ちを前向きにしてくれたのは事実だ。

そういえば、告白された時、ゆっくりと好きになってくれればいいと言っていたけど。
それって、いつか好きになったって私から言わないとダメって事なのかな。
なかなかの羞恥プレイだな……。



「えっ、雨宮、今そんなおいしい状態なの?!」


大きな書店に向かいながら色々根掘り葉掘り聞きだされるままに話していると、驚かれた。

時間は18時20分。
定時からは一時間が過ぎていたけど、記録上は残業なしでつけておくのは暗黙の了解だった。
つけていい残業は一ヶ月で3、4時間で、上司が書いた残業表にこちらは判を押すだけ。
なんだか色々おかしいけれど、課長も同じような条件なんだから文句も言えない。


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