シークレット ハニー~101号室の恋事情~
「五十嵐篤志に近づかないでって、何度も書いたのに」
「あ……手紙の?」
嫌がらせの手紙の差出人だと気づいて、ハっとする。
ああいう陰湿な事する人は、ずっと陰から地味ないじめを繰り返すだけで姿は現さないものだって勝手に思っていたから驚いた。
ついでに、もっとこう、漫画にでてくるようなオタク女子を想像していたから違っていて驚いた。
髪もメイクもぬかりない感じで服もスーツだしで、キャリアウーマンって言葉がぴったりだと思う。
まさにできる女って感じだ。
「なにボケッと見てんの?」
「ああ、ごめんなさい。……で、本題はなんですか」
ぼんやりしていた事を謝ると、その人はきつく私を睨みつけたまま言う。
「このマンション出て行ってくれない? 目障りなの」
「え……っていうか多分、五十嵐さんよりも私の方が先にこのマンションに住んでるんですけど」