シークレット ハニー~101号室の恋事情~
それを出ていけっていうのはなんかちょっと理不尽に感じて言ったけど、それが相手に火をつけたみたいだった。
なんか、眼力で殺されそうだ。
「っていうか、なんなの? アンタ。急に篤志の周りをウロチョロしだして、部屋に呼びこんだりして。
篤志が迷惑がってるの分かんない?」
「……はぁ」
「分かったら早く出て行ってよ。アンタ、超邪魔なの」
「そうなんですか」
何を言っても神経を逆撫でしそうだから、聞いてますよっていうアピールだけに留める。
大人しくしていたからか、少し昂ぶった神経が落ち着いたのか。
すごい剣幕で怒鳴るように言っていた女の人が、表情を一変させて笑う。
笑うって言ってもいいモノじゃなく、薄気味悪い笑い方だったけど。
「っていうかね、篤志にはまだ記者もついてるし、あんまり近づくと本当に記事にされて痛い目に遭うから」
「ご心配ありがとうございます。でも私は大丈夫です。
一般人ですし、万が一記事になってもどこにでもいる顔ですし」