シークレット ハニー~101号室の恋事情~


そう考えると五十嵐さん以外考えにくいけど……。

だったら一言言ってくれてもいいのに。
そんな、怖がらないようにって女の子扱いしてくれなくても、私は別に平気なのに。

知らないうちに守られていた事が分かって、なんだか嬉しいような悔しいような、複雑な気分になる。


「とにかく、篤志に今後一切近づかないで。そうしたら許してあげるわ」
「だから、このマンションには私が先に……」
「もう寝るなって言ってんのよっ」


一気に強い口調になった女の人に、一瞬ひるんでしまう。
男の人の大声も怖いけど、女の人のヒステリックな声も別の意味で怖い。

割とどんな時でも冷静でいられるタイプだとは思うけど、さすがに叫ばれると怖いなって思いが浮かんでくる。

怖いなっていうより、危ないかもっていう、危険信号を感じる。




< 131 / 313 >

この作品をシェア

pagetop