シークレット ハニー~101号室の恋事情~
「バカな事言わないで。付き合ってるわけでもないくせに」
「付き合ってます」
「……は?」
「私、五十嵐さんと付き合ってます。
……まだ二週間ほどですけど」
確か告白されてからそれぐらいのハズだ。
なんだか勢いで言っちゃったけど、まぁいい。
今日、サンドイッチ一緒に食べながら告白の返事をするつもりだったんだし。
これくらいのフライングは許されるハズ。……多分。
そんな事を考えてから、女の人がやけに静かな事に気づく。
見ると、その人は怒りからかふるふる震えていて。
ついムキになって言っちゃったけど、余計な一言だったかもしれない、と今更思う。
「付き合ってるとかホント勘違いしすぎだし!
いい? 篤志は誰にでも優しいだけで、アンタに特別優しいわけじゃないんだから!
この身の程知らず!!」
「……はぁ」
「いい? こっちにはアンタの声の入ったテープだってあるんだから!
ネットで世界中にアンタの気持ち悪い声流されたくなかったら篤志から離れて!」