シークレット ハニー~101号室の恋事情~
「羽田さんが俺の周りをコソコソ動き回ってたのは知ってたけど、面倒だから放っておいたんだ。
いくら羽田さんでも、極めて自分勝手な理由で俺の大切な人を傷つけたりはしないだろうと思ったから。
まさかそんな事も分からないとは思わなかった」
「ち、違うの……っ」
「何が違う? 盗聴器まで仕掛けて葉月に汚い言葉ばかりの手紙を強引に送りつけて、挙句恐喝した。
立派な犯罪だろ」
おもむろにメモリースティックを指先で掴んだ五十嵐さんがそれを地面に落とす。
そして、上から強く踏みにじった。
小さなモノだし大きな音がしたわけではないけれど、その行為に驚く。
普段の温厚な五十嵐さんを知っているから、余計に。
「これ、他に保存した?」
そう聞くと、羽田さんは呆然としながら首を振る。
「まぁ、素直には答えないか。
じゃあ、万が一これが第三者に聞かれた場合、この写真をバラまくって事にしようか」