シークレット ハニー~101号室の恋事情~
話がどんどん進んでいくのを、私が口出しても羽田さんの気に障るだけだろうなと黙って聞いていたけど、もうそろそろ限界だった。
可哀想で見ていられない。
羽田さんをじゃなく、五十嵐さんを。
普段どれだけ優しいかを知っているからこそ、らしくない姿を見ていられなかった。
そんな傷つきながら私を守ってくれなくても、私は自分の身くらい自分で守れるのに……。
「もういいです、五十嵐さん」
五十嵐さんがゆっくりと私を振り返る。
その表情は冷たく……やっぱり傷ついているみたいに見えた。
苦手なくせに、無理するから。
優しい五十嵐さんに愛しさみたいな気持ちを感じながら、小声で話す。
「警察とか、おおげさですよ。
私は羽田さんがもうこういう嫌がらせをしないって言うならそれで終わりで大丈夫ですから。
……あ、でも、盗聴器関係はしっかり処分してもらわないと困りますけど」