シークレット ハニー~101号室の恋事情~


「……葉月、自分のされた事を分かってる?
そんな穏便にすませたんじゃまた……」
「大丈夫ですよ。それに、羽田さんももう変な真似しないでしょ?
ばらまかれたくない写真があるみたいですし」


羽田さんは、五十嵐さんのあまりの冷たさに驚きを隠せない様子で、顔をしかめたまま呆然としていた。
優しいって思っていた好きな人にあんな風に冷徹な態度をされたら、ショックを隠せないのも分かる。


「羽田さんの住所とかは、事務所に問い合わせば分かるんですよね?
なら、もしもまた何かしてきたら今回の件も合わせて通報するって事でいいんじゃないですか?」


納得いかない顔をする五十嵐さんに、私も今会社で色々噂されてる身なのでこれ以上噂の種を増やしたくないんです、と苦笑する。

盗聴されていたとか、脅されたとか、事情聴取されたとか。
社内の誰かに見られない限りは噂になりようもないけれど、バレたら色々面倒だ。

それに、私の事だけならいいけれど、とばっちりで五十嵐さんの事まで万が一広まってしまったりしたら、ここで暮らしてなんかいられなくなる。

それは……正直、嫌だし。
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