シークレット ハニー~101号室の恋事情~
羽田さんの行為を許してまで五十嵐さんとの今の日常を守りたいなんて、おかしいのかもしれないけど。
それが私の本音だった。
そんな私の気持ちに気づいてなのかどうなのかは分からないけれど、五十嵐さんは軽くため息をついてから呆れたように微笑む。
今日初めて見た優しい顔に、胸の中が温かくなった。
「そこまで言うなら葉月の考えに従うよ。
確かに、葉月の社内での環境が悪くなるのは俺も困る」
納得してくれた五十嵐さんに、じゃあ羽田さんにその旨伝えてくださいと言うと、不思議そうな顔をされる。
だって私が言ったりするのはなんだか上から目線に思われそうだし羽田さんだっていい気持ちしないじゃないですかと理由を説明すると、なぜか困り顔で笑われた。
嫌がらせしてきた相手にそこまで気を使う必要もないのにって。
でも羽田さんは今までの五十嵐さんの冷徹非道な態度にもうかなりやられているし、これ以上追い詰めるのも可哀想だ。
現に今だって何も言えずに呆然としたままなんだから。
できるだけ優しくとお願いした私にため息をついた後、五十嵐さんが羽田さんに話しかけた。