シークレット ハニー~101号室の恋事情~


なにが、つい、だ。
さっきからそんなのが多すぎる。
絶対に確信犯だ。

まぁでも、これで羽田さんに掴まれていた弱味はなくなったわけだし、声が聞かれてたかもしれないなんていうのは、取り越し苦労で済んだんだからいいのかもしれないけど。

安心したらどっと疲れてきて、それと同時に空腹に気付く。
そういえばサンドイッチを買ってきたんだっけ。


「五十嵐さん、夕ご飯まだですか? 私、サンドイッチ買ってきたんですけどよかったら一緒に食べませんか?
お茶もいれますし」


聞くと、五十嵐さんは柔らかく微笑んで「それも後でもらうけど」と言う。

それも後でって、どういう意味だろう。今はお腹空いてないのかな、なんて考えていると、五十嵐さんが私の腰に腕を回す。


「付き合ってるって羽田さんには言ったのに、俺には何も言ってくれないの?」


……ああそうか。しまった。
最初から聞かれていたって事は、あのフライング発言も聞かれてたって事になるのか。

サンドイッチ食べながら機会を伺って……なんて考えていた当初の作戦が、五十嵐さんの微笑みに潰される。


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