シークレット ハニー~101号室の恋事情~


「付き合ってるヤツがいるとかいないとか、気にした事ないし」
「……それ、偉そうに胸はって言える事じゃないと思うけど」
「だから今までも女関係って適当にやってきたんだけど、考えてみると、相手から別れたいって言われたのって葉月だけなんだよな。
他は、他に男がいたのに俺に夢中になったりで、結局俺から全部切ってきたから」


だから今でも葉月が気になるんかな、と笑う野田に、そんなの勘違いだって怒鳴ってやりたかったけどやめた。
この男の溢れんばかりの自信は一体どこからきているんだろう。

すべてにおいて勘違いがすぎる。
一瞬、すがすがしいほどの域に達した後、またすさまじい苛立ちが襲ってきて、それをため息にこめて外に逃がした。

あまりのいい男スタンスに、自信を根源から根こそぎ枯らしてやりたい衝動にかられる。

本当に言葉に思いが宿るなら、言霊で野田をしとめられるかもしれない。







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