シークレット ハニー~101号室の恋事情~
悔しいだとか頭にくるとか、はらわたが煮えくり返るだとか。
もうそんな言葉に収まる感情じゃない。
どうしても言葉にしろって言うなら、爆発、噴火、暴発。
そのあたりが一番近いかもしれない。
赤がずっと点滅している危険状態。
三分間ヒーローの胸ボタンで例えるなら、あと10秒で時間切れってくらいなあの状態。
「なんでエリートコースがそこまで優遇されるんですか。野田なんかより私の方がよっぽど頑張ってるのに。もう四年も働いてるのに新入社員に立場的に負けてるなんて納得いきません」
おいしくもないビールを飲み込んでから息の続く限り一気に言うと、隣に座っている福島さんが驚いた顔をした。
「雨宮、それ何上戸?」
「まだ酔ってません」
「だってすごい話すから」