シークレット ハニー~101号室の恋事情~


「野田への怒りが有り余っていて、たくさんしゃべっちゃってるだけです。
だっておかしいじゃないですか、あんな仕事もできない男がのうのうと居座って私だけ……私だけ!」
「本当にそうよね。私もそこは絶対におかしいと思う。
大体、噂を広めたのは野田さんなのになんで雨宮が処分されなきゃならないのよ」
「……私の異動って、やっぱり処分って扱いなんですね」


つまりは左遷って事か。
そんな事を言ったら左遷先の監査課に申し訳ないけど。
変わり者ばかりが集まるって聞いたことがあるけど、うまくやっていけるのかな。
居心地悪い雰囲気だったらどうしよう。

そんな事を不安に思ってから、全部野田のせいだと大きくため息をつく。

仕事の帰りに寄ったのは、立ち飲みタイプの居酒屋。

あまりに無口な私を心配して福島さんが誘ってくれたのだけど、お酒が飲みたいと言うと福島さんはかなり驚いて目を見開いた。

強くないし、普段進んで飲まないから驚くのも当たり前だけど。
異動だって告げられた日にコンビニで買った10本の缶チューハイは、まだ手つかずで冷蔵庫の中だし。


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