シークレット ハニー~101号室の恋事情~
「五十嵐さんに迷惑になるような事になるのも……隣の部屋から五十嵐さんがいなくなるのも嫌なんです。
相談した方がいいのは分かってるんですけど、言えば五十嵐さんは絶対に野田をどうにかしてくれようとするのが目に見えるから」
「そっか……」
難しいね、と眉を寄せる福島さんに苦笑いを向けてから、ビールの入った中ジョッキに口をつけた。
なんでこんなに苦いものをみんな好んで飲むんだろう。
イライラを無理してアルコールで流し込もうとしたのに、結局ストレスを解消してくれたのは、五十嵐さんの存在で、苦いビールがバカバカしく思えて笑ってしまった。
納得いかない事も多いし、理不尽な事も多いけれど。
気持ちを切り替えて頑張るしかない。
野田や陰口、色んな物に負けないために。
会社員なんだから、与えられた環境でどれだけ頑張れるかが大事だって、身を持って証明してやる。