シークレット ハニー~101号室の恋事情~


「パワハラって?」
「噂のせいで私だけ異動になった件で、自分との立場の違いが分かっただろうとか、見下されて」
「セクハラは?」
「……私の不感症を、今だったら自分が治してやれるとかなんとか」
「それで言い寄られたって事か」
「……すみません」


私が悪いわけじゃないけれど、五十嵐さんに嫌な思いをさせているのが申し訳なく感じて顔色を窺うと、それに気づいた五十嵐さんが眉を寄せながらも微笑んでくれる。


「葉月が悪いんじゃないよ。
怒って見えたならごめん。葉月じゃなくて、野田が頭にきてたんだ」
「……呼び捨て」


なんだかおかしくて笑うと、俺の方が年上だからいいだろうと五十嵐さんが言う。

五十嵐さんの年齢が判明したのはつい先日の事。
笑顔にあどけなさは残るけど、私よりもふたつ年上の26歳だった。


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