シークレット ハニー~101号室の恋事情~
素直な気持ちを打ち明けると、五十嵐さんは一瞬真顔になって。
それからははっと笑いを吐き出した。
何がおかしかったんだか分からずに不思議に思って見ていると、笑みを浮かべた瞳が私を見た。
その瞳はおかしいというよりも、嬉しそうに見える。
「笑ってごめん。葉月が俺との生活を大事に思ってくれてるんだって分かって嬉しかったんだ。
葉月はあまりそういう事口にしないから特にね」
「……言葉にしないだけで思ってはいますよ。
私は好きでもない人とは付き合いません」
その中でも五十嵐さんは特別だ。
それは自分の気持ちの中では明確だったけど、わざわざ口にするのは恥ずかしくてやめる。
今声に出した事だけで顔が熱いんだから。
誤魔化すみたいにコンロの電源を切って、茹でたパスタを湯きりする。
私がそうしている間に五十嵐さんが用意してくれたふたつのお皿にパスタを分けて、別のお鍋で温めていたソースをそれぞれにかけた。