シークレット ハニー~101号室の恋事情~


「なに笑ってるの?」
「ごめんなさい……。五十嵐さんが可愛いからつい」


可愛いなんて言ったからか、その意味が分からなかったからか、眉をしかめられる。
そんな五十嵐さんを微笑みながら見上げた。


「私は、五十嵐さんじゃなきゃ感じたりしません。
触れ合うのも、溶け合うのも。
五十嵐さんとじゃなきゃ何の意味もないし、五十嵐さん以外となんて考えただけで気持ち悪いです」


だから野田なんて論外だ。
けど、五十嵐さんのしてくれる心配の意味は分かるから。


「野田とはふたりきりにならないように本当に気をつけます」


見上げながらそう言うと、五十嵐さんははぁとため息をついて、私の胸におでこをくっつけた。



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