シークレット ハニー~101号室の恋事情~
「……ごめん。葉月の事信用してないわけじゃないんだ。
けど、どうしても心配で……。
ケンカしたかったわけじゃないのにごめん」
「私もごめんなさい。なんか意地張っちゃって……」
「お互い結構頑固かもな」
「そうですね」
そんな事を言って笑ってから、五十嵐さんが顔を上げる。
その顔にはもう怖さなんて少しも残っていなかった。
穏やかな、いつもの五十嵐さんだ。
「パスタ、冷めちゃいましたね」
そう言うと、五十嵐さんが困り顔で笑った。