シークレット ハニー~101号室の恋事情~
◇彼と彼女のズルさ
一緒に食器を片づけて食後のお茶をいれて。
テーブルに運んで一息ついたところで、五十嵐さんが聞いた。
「葉月は、俺の事が噂になったらとかやけに心配してくれるけど、何か理由があるの?」
素直に答える事をためらったのは、それを言うと五十嵐さんが傷ついてしまう気がしたから。
だけど、今誤魔化してもいずれ話題にはなるだろうし、ずっと知らないふりをするわけにもいかない。
そう考えて、ゆっくりと話す。
「五十嵐さんが昔、義理の妹さんと記事になった事を知ってて……。
その時、きっと傷ついたハズだから、また何か周りで噂が立った時、思い出して嫌な思いするんじゃないかと思って」
そう説明すると、五十嵐さんは「知ってたんだ」とわずかに微笑む。