シークレット ハニー~101号室の恋事情~
「はい。会社の人で、ひとりだけ五十嵐さんと私の関係を知ってる人がいるんですけど、その人かなりの芸能通で。
昔そんな事があったって教えてくれたんです」
「どこにでも詳しい人はいるからね。
でも五年くらい前の事だし、もう気にしてないから大丈夫だよ」
「だけど、羽田さんも妹さんの事言ってたし……。
年数は経ったかもしれないけど、五十嵐さんにとっては、そんなに過去の事でも吹っ切れてるわけでもないんじゃないかなって思っちゃって」
羽田さんとがここに乗り込んできた時、確かに妹さんの事を言っていた。
『なのに篤志は、急にでてきた妹を優先させたり、アンタみたいな女を選んだり……っ』って。
それにたいして五十嵐さんは普通に返していたから、その時は何も触れなかったけど、やっぱり気になる。
そう思って見つめていると、五十嵐さんは少し笑って「気になる?」と聞く。
「気になります。けど、話す事で五十嵐さんが嫌な思いするなら聞かないです」
「そんな大した話じゃないよ。
でも、葉月が聞いてくれるなら話すけど」