シークレット ハニー~101号室の恋事情~


本当にヘッドハンティングされてきたなら。
わざわざ今までの会社での立場を手離してきたのに、用意されていた椅子がそんな課長補佐なんて半端なモノだったら納得しなそうだけど。
ヘッドハンティングだとかっていう噂は、どうやらデタラメだったみたいだと今の状況から判断する。

ヘッドハンティングって言えばそうなのかもしれないけれど……。
間違いなく、同じ業種の会社から引っこ抜いてきたわけじゃないと思う。

目の前の光景が事実だとしたら、もっとキラキラした世界から引っ張ってきてる。


「まぁ、雨宮さんをサポート役にというのは、課長補佐自らの希望でもあったんだ」


そう言った部長に顔をしかめると、ああ誤解しないでくれ、とすぐにフォローが入る。


「もちろん、そんなわがままをただ通させたわけじゃない。
どうせなら営業店での仕事内容を分かっている人の方がいいだろうっていうこちらの希望に雨宮さんが当てはまっていたからだ。
その点、営業店の仕事を四年間もしてきた雨宮さんには監査課の仕事はもってこいだ」


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