シークレット ハニー~101号室の恋事情~


「……そうですか」
「心配しなくてもすぐに慣れるよ。
ようは、今まで毎日していた伝票や諸届の精査を、もう少し突っ込んだところまで監査するだけだ。
その点は課長補佐がよく知っているから教えてもらえばいい」


これは夢なんだろうか。
本気でそんな事を考えるのはおかしいと思ったけれど、そう思わずにはいられなかった。

無事引継ぎを終えた一階の営業店に別れを告げて、六階にある人事部専用の会議室にきたのが今から数分前の事。
そこで新しい監査課課長と顔合わせするって聞いたからだ。

でも、少し待ってきたのは、なぜか五十嵐さんで。
しかも、人事部部長が五十嵐さんを監査課課長補佐だなんて紹介するから訳が分からなくなる。

これは何かの間違いだって事ばかりが頭をぐるぐる回る。



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