シークレット ハニー~101号室の恋事情~
でも、部長の言うとおり、五十嵐さんが自分で就職活動をするのは難しいのも確かっていえばそうだ。
もう少し時間が経てば話も別かもしれないけど、今はまだ五十嵐さんの顔は知られすぎてる。
「だけど、篤志の仕事を私も探してみたんだが、これがなかなか難しくてね。
営業職を避ければ客には顔出ししなくて済むが、社内ではそうもいかない。
どうすればいいのか真剣に悩んだよ」
「それで、監査課に?」
「ああ。社内にいながら他の社員とは仕事を共にする事もないし、課自体の人数も他と比べて極めて少ない。
金融業界には保守義務はもちろん徹底されているが、監査課に至ってはその意識も他の課の倍高い」
部長がそう言い切るのは、監査課の仕事内容が関係する。
他の課の守るべき情報は、お客様の個人情報がほとんどだけど、監査課は違う。
それにプラスして、自分たちの仕事予定や今している内容すら他に漏らしたりしない。