シークレット ハニー~101号室の恋事情~


「まぁ、そこまでの問題行動をとる前にも、ちょっとした時に引っかかる言動はしていたんだけどね。
ああ、少し前、雨宮さんと野田くんの噂が広まってただろう?
あれも飲み会の席で野田くんが言った事を、前の課長が広めたものなんだよ」
「えっ、そうだったんですか?」
「どうも酒が入ると口が緩むらしくてね。プライベートと言いつつもその辺は十分注意してきたつもりなんだが……。
でも、雨宮さんと野田くんとの事を広めた時は酒を飲んでいなかった。
シラフの状態で社員の噂話を面白半分に言いふらす姿はさすがに監査課課長としても、部下を持つ身の管理職としても頂けない。
そう思っていた矢先、飲み会での監査予定暴露の件が耳に入ってきて、異動が決定したんだ」


五十嵐さんが「もっと遠くに左遷してやってもよかったのに」と言うと、ため息をついた部長が苦笑いを浮かべる。


「事務集中第二課の平社員だ。十分の左遷だろう。
おまえは本当に雨宮さんが絡むと他人に厳しくなるな」


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