シークレット ハニー~101号室の恋事情~


「葉月、何度か制服で帰ってきた事があったから。
制服見て、叔父さんのいる会社だってすぐ分かったし、それで興味を持った」
「理由聞いて私も耳を疑ったけどね。
でも、それまで死んだみたいな目してたこいつが仕事をしたいと言ってきてくれたのが嬉しかったから、まぁ特に言及はしなかったが。
それですぐに妻の派遣会社で派遣登録してうちの求人を出してもらうよう上に頼んだんだ」


そんなにすぐに求人が出せるものなんですか、と聞くと、部長がふふっと意味深に笑う。


「人事部長なんて数年やってると、上にも顔が利くようにもなるんだよ。
まぁ、私が持っている自社株数も関係するのかもしれないけどね。
あとは、篤志のネームバリューもあるし」


自社株、持ってるんだ……。
でも、マンションなんか持ってるくらいだし、部長はかなりお金の回りがいいのかもしれない。
そう言われてみると、着ているスーツも高そうだ。

五十嵐さんの叔父さんだけあって、顔も整っているし、大人の色気があってカッコいい。


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