シークレット ハニー~101号室の恋事情~


「この支店に監査に入る前日に、社員用出入り口で待ち伏せしてる男がいた。
話しかけられるまで野田だとは分からなかったけど、雨宮さんの事を聞かれて、噂を思い出して野田だと分かった」
「え……」
「雨宮さんも分かってるだろうけど、今の監査課の人間は他の課とのかかわりが極度に少ない。
それは課の性質ではなく個人の性格の問題だ。
そんな俺の顔を知って話しかけてきたという事は、監査課の人間を調べたんだろう」
「ああ……野田ならありえます。
すみません、迷惑かけてしまって」


あいつなら、スパイ感覚で楽しんで監査課のファイルを開きそうだ。
あのナルシスト勘違い男が。

異動になったし、今までの二ヶ月何もなかったから安心していた。
だから、正直吉田さんの話をきいて驚いた。
まさかまだ待ち伏せしたりするほど私に拘ってるなんて思いもしなかった。

ただ私から振ったからって理由だけで、なんでそこまで執着できるんだろう。
理解できない。



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