シークレット ハニー~101号室の恋事情~
「そういう事を言ってるんじゃない」
迷惑をかけた事を謝った私を吉田さんが見る。
こんな風に目を合わせて会話するなんて、もしかしたら初めてかもしれない。
「かなり執着しているようだから、気を付けた方がいいって話だ」
「あ……そうですね。ありがとうございます」
まさか私の心配をしてくれるなんて思わなかったから、驚きながらお礼を言うと、吉田さんは目を逸らしてトレーにコーヒーカップを並べていく。
「別に深い意味はない。
ただ、俺が監査課にきた理由が雨宮さんと似ていたから気になっただけだ。
トレー、俺が持っていくからまたドアだけ頼む」
「あ、はい」
異動理由が似ていたからってどういう意味だろう。
気になったけれど、急かされるように言われて慌てて吉田さんの後に続いた。