シークレット ハニー~101号室の恋事情~
後付感のたっぷりさに呆れてため息をつきながら、コンロの電源を切る。
それから、ふたつのお皿にご飯をよそって温めたカレーをかけた。
三日間くらいカレーのつもりで昨日多めに作ったのだけど、五十嵐さんが急にうちに寄っていくなんて言うから仕方なく。
本当だったら残り物を食べさせるみたいで嫌なんだけど。
「吉田さん、今みたいに無口じゃなかったんですか?」
カレーの上に切ったゆで卵を並べながら聞くと、飲み物をとりにきてくれた五十嵐さんが隣に並んで答える。
「本当に普通の子だったみたいだよ。
葉月と同じように高卒で入社してからは仕事に対しても真面目で成績も残していたらしいし。
社内の卓球部にも入っていて、準決勝まで進んだ事もあるって言ってたから、そういうサークル活動も進んでできるタイプだったのかもしれない。
今の吉田さんからは考えられないけど」
「そうなんですか……」