シークレット ハニー~101号室の恋事情~
スプーンを用意している間に、五十嵐さんがカレーとコップをテーブルに並べてくれる。
それから私も座って、ふたりで手を合わせた。
「おいしいね」
「市販のルー使ったカレーですし。でも、夕飯食べていく時はもう少し早く言ってくれないと困ります。
今日だって事前に連絡もらえればサラダくらい作ったのに」
「これで十分だよ。俺は夕飯食べにきてるわけじゃなくて葉月と一緒に過ごしたいだけだし。
気を使わせるんじゃ意味がない」
「でもやっぱり、せっかくならおいしいモノ作ってあげたいとか思うじゃないですか。
……大したものはできませんけど」
ぼそぼそ言うと、五十嵐さんは優しく微笑んで。
それから、「でもなんで急に吉田さんの事を気にし出したの」と聞く。
「給湯室で話してた時言われたんです。
私が監査課に異動になった理由が、自分と一緒だから気になるって」