シークレット ハニー~101号室の恋事情~


そう説明した途端、五十嵐さんが顔をしかめて動きを止めるから、不思議になる。
だけどすぐに私の言い方が悪かったんだって気づいて、慌てて訂正した。


「あ、吉田さんが私を気にしているわけじゃなくて、むしろ野田の方を気にしてるんです。
野田が先週、社員用出入り口で私を待ち伏せしていたらしくて。
だから、気を付けた方がいいって気にしてくれたんです」
「野田が? 最近は何もなかったんだよね?」
「はい。異動して最初のうちは電話がきたりはしてたんですけど、無視してたらこなくなったし……」


今さら何か話があるとも思えないし、またイヤミを言いたいだけかもしれない。
そう言うと、五十嵐さんはしばらく難しい事でも考えているように顔をしかめていた。

だから、十分気を付けますから。と言うと、五十嵐さんはそうだねと笑ってくれたけれど、まだ何か引っかかる事はあるようで。


「五十嵐さん、盗聴器とかって持ってないですよね……?」
「……なんで?」



< 240 / 313 >

この作品をシェア

pagetop