シークレット ハニー~101号室の恋事情~
◇ふたりの距離感



これから帰りますが、もし野田が待ち伏せしていたらワンコールします。

そんなメールを打ちながら、社員用出入り口のドアを開けた時。
急に「久しぶり」と声をかけられて、びくっと肩が上がった。

声のした方向を恐る恐る見ると、ドア横の壁に背中を預けてこちらをニヤニヤと笑ってみている野田がいて。
跳ね上がった心拍数を落ち着かせながら、目を逸らした。


「この間も待ち伏せしてたって聞いたけど、何?
噂が広まった結果私が異動になって監査課に飛ばされて、自分の方がエライって言ってたけど、まだ何か言い足りない事でもあった?」
「あれ、なんか今日はやけに突っかかってくるな。
なんかあった?」
「何も。ただ、そろそろ野田と話すのも面倒になってきたからそっちが言い残した事があるなら全部言って今日で終わりにしたいだけ。
セクハラ発言でもパワハラ発言でも思う存分どうぞ」



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