シークレット ハニー~101号室の恋事情~


でも今は違う。

五十嵐さんが明日からいなくなってしまったら、私は多分日常には戻れない。
毎日どうやって過ごしていたのか、どんな想いを抱いて眠っていたのか、どこが私の居場所なのか。
きっと立っている場所さえ分からなくなって、その足元から崩れ落ちていって。
私の言葉が、心が、日常のすべてが意味を失って真っ暗になる。

私にとって五十嵐さんはかけがえのない存在だから。
失うなんて、一ミリも考えたくない。

これが本当の恋かは分からないけれど、こんなにも強い気持ちを他になんて言えばいいのか私には分からない。


18時30分の空は、夕焼けと夜の混じり合った色をしていた。
野田は、何言ってるんだって顔で私を見ていた。


「あんだけ無関心だったのに、今更……」
「野田と付き合ってた時はね。
でも今は違う。野田には想像つかないくらい一緒にいるし、距離感なんて保ててない」


はぁ?って顔をする野田に、事実にだいぶ盛って、うっとうしいくらいベッタリだし目も当てられないくらいにバカップルだって説明すると、ますます顔をしかめられる。



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