シークレット ハニー~101号室の恋事情~
「その前に私がその気がないって言ってるんだからその時点で諦めるべきでしょっ!
なんなの? 女に執着しないって言ってたくせに本当にしつこすぎるっ」
「な。俺もそう思ってたんだけど、なんか拒否られると燃えるみたいでさ。
俺、恋愛で追われるばっかだったから今みたいに追うの初めてなんだよ。
だから葉月が嫌がれば嫌がるほど燃えるっつーかそんな感じ」
「勝手に燃えて追い回されても迷惑だって何度言えば分かるの?
これ以上しつこくするなら会社にも報告するから!」
「すれば? 少し前に立った噂がある以上、痴話げんかかくらいにしか思われないだろうから」
ニヤニヤ笑う野田には腸が煮えくり返りそうなほどの怒りを覚えたけれど、言っている事は確かにそうでぐっと押し黙る。
付き合ってるとか付き合ってただとか噂が流れた以上、当事者の私が何を言っても無駄だ。
会社側だってエリートコースの野田の肩を持つだろうし、私が何か言ったりしても余計に変な噂が立つだけだ。