シークレット ハニー~101号室の恋事情~
「高校ん時付き合ってたんだから、別に俺の事嫌いじゃないんだろ?
だったら素直に付き合えばいいじゃねーの?
俺だったら二次元彼氏の趣味も認めてやるし」
「だから、二次元とかじゃ……っ」
「じゃあ今ここに連れてこいよ。
そうしたら諦めるってさっきから言ってるじゃん」
まぁ無理だろうけど、と笑う野田に拳を握りしめた時、野田の表情から笑みが消える。
なんだろうと不思議に思って見ていると、横から強い力で肩を抱かれた。
そして隣を見上げるよりも先に聞こえた声に、身体が凍りついたのを感じた。
「――じゃあ、これで諦めてもらおうか」
「いが……っ」
危なく名前を呼びそうになって、慌ててやめる。
名前なんか呼んだら、すぐバレてしまう。
名前なんか呼ばなくても……これじゃあすぐバレるだろうけど。
五十嵐さんを見てそう思った。
なんかもう出で立ちそのものが芸能人ですって語ってるようなものだったから。