シークレット ハニー~101号室の恋事情~


「そんなわけだから、これでもう諦めてもらえるかな」


そう微笑む五十嵐さんに野田は黙っていたけれど、少ししてからもっともな疑問をぶつけてくる。


「なんで芸能人が葉月なんかと知り合いなんだよ」
「そんな事君に説明する義務はないし、君に葉月を侮辱する権利もない」


ぴしゃりと言い切った五十嵐さんが、冷たい微笑みを野田に向ける。


「随分しつこく付きまとってくれたみたいだけど……どうする?
これでも引かないっていうなら、こちらとしてはもう通報してもいいと思ってるんだけど」
「通報……?」


聞いた私を見ずに、五十嵐さんは野田を見たまま答える。


「芸能界なんて場所にいると、こういう事例にも詳しくなってくるんだ。
君の今までの言動は葉月から全部聞いてメモに残してある。
それを知り合いの警察に確かめてもらったら、ストーカー防止条例が摘要されるらしいから。
あと、ついでに言わせてもらえば、セクハラとパワハラもね」
「ストーカー……?」
「もしも君がそれを望むなら、こちらとしては出るところに出ても構わないけど」


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