シークレット ハニー~101号室の恋事情~
私がされた事は、何度か待ち合わせされただけなのに、それでストーカー防止条例が適用されるの?
それとも、ただのハッタリだろうか。
疑問はあったけど、五十嵐さんがどんどん話を進めるから、聞けないままただ野田の反応を見ていた。
「自分でもしつこいって思ってたようだし、それなりの自覚はあるんだろ?
どうする?」
まさか警察なんて単語が出てくると思わなかったのか、五十嵐さんが登場した時点で既にちょっとしたパニックに陥ってたのかは分からないけれど。
野田はしばらく黙っていた。
でも、それから睨むような視線を五十嵐さんに向けた。
「つーかいいの? 芸能人が堂々と交際宣言とか。
俺が今写真撮って記者に売ったら高く売れるんだろーな」
「俺はもう引退してるからね。
いくら記者でも、一般人同士の恋愛を記事に載せるような事はしないよ。
もしもそれで葉月の日常に影響が出た場合訴えられる可能性もあるし。
芸能人なら有名税って言葉で簡単に片付けられるかもしれないけどね。
今は違う」