シークレット ハニー~101号室の恋事情~


「でも本当になんで私があそこにいるって分かったんですか?」
「心配しなくても、葉月が思っているような理由じゃないよ」
「……別に私、盗聴器とか思ってませんけど」
「俺は、何されても結局は許すなんて言われても、それを真に受けてうぬぼれるほど自信はないから。
葉月に嫌われるような事はしないよ」


そこはもっと自信を持ってもいいと思うのだけど。

五十嵐さんは本当に自分をよく見えていないと思う。
自分と、私の気持ちが。

堂々とうぬぼれていいレベルなのに、未だにそんな事を言うのが信じられないとも思うし、最初の頃はかわいこぶってるだけかなとも思ってたけど。

五十嵐さんのこういうところはずっと揺るがないから、どうやら本当みたいで。

本気で、私なんかに嫌われないようにって必死になってくれてるらしくて、そんな事を考える度に申し訳ない気分になると同時に顔がにやけそうになる。

五十嵐さんと私は全然違うのに。
同じ気持ちでいてくれてるんだなって、嬉しくなる。



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